修論計画を練り直しています。「開発研究」のテキストを読み返してみているのですが、こんな形の調査が
可能なのかどうか分かりません。やり方そのものも実は不明ですし、大風呂敷過ぎる気もとてもしています。
やりたいこと自体は明確なのですが。ご指導ください。
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テーマ: |
「フィリピン・R州Y村における開発の現状と人々の意識および 内的発展モデル設定の試み」 |
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研究の背景: |
私の属する開発援助NGOが進めている「フィリピン・マニラ湾環境資源回復プロジェクト」
の一環として行っているのが、Rのマニラ湾岸地域Y村における
漁業資源管理プロジェクトである。
この村は多くの住民が漁業を営む漁村であり、人口は約2,000人とされている。
マニラ首都圏からそれほど遠くないにもかわらず、陸路が通っていないため、物資
および人の交通は船に頼っている。水道はなく、電気は共同の発電機から 1日4時間
だけ供給される。学校は小学校だけで中高校(ハイスクール)はなく、子どもたちは
ボートで近隣のハイスクールに通う。主な収入源は漁業で、小型のボートに1人ないし
3人乗り込み、網を仕掛けて回収する漁法が多い。近年また、プポと呼ばれる仕掛けを
使ったイカ漁も盛んになっているが、収入は概して低く、村民の多くは低所得者に属する
と思われる。フィリピンの他地域と同じく、海外出稼ぎ者は多い。漁業資源管理プロジェクト
は主に3つのモジュールで成り立っている。それは
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| 1 | 漁業禁止区域の設定 |
| 2 | 住民による漁業禁止区域および不法漁業に対するパトロール |
| 3 | マングローブ植林 |
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である。目指すところは漁業資源の回復であり、それによる漁民の所得向上である。 |
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研究の目的: |
開発の目標はなにか、どうした未来が望ましいのか。開発を進める際には避けて
通れない問題である。デビッド・コーテン によれば、NGOは四世代に分類できる。
第一世代は救援福祉NGO、第二世代はコミュニティ開発、
第三世代は持続可能なシステム開発を行うNGO、
そして第四世代は新しいフレームワークを提出するNGOである。
私たちの現地パートナーNGOである「PFFF」は、この
典型的な第四世代NGOと考えることができる。
すなわち、開発の新しいフレームワークとして、中村尚司の地域自立の経済に似た、
一定の地域内での持続可能な開発を基盤とするモデルを提出している。
職員250名を抱えるこのPFFFは、フィリピンNGOのリーダー格として90年代の
NGO活動をリードしてきた。このいわゆるオルタナティブな開発モデルに、それなり
のリアリティはあるはずである。
しかしながら、開発の現状は、現実にはその方向に向かっているとは言い難い。
それは巨大企業の存在、国の開発政策の問題等もあるだろう。しかしもう1つの大きな
問題は、人々の意識の問題である。当の人々は、どんな開発を望んでいるのか。
どんな未来を考えているのか。私はその部分にまで踏み込んで、有効な開発モデルを
構築したい。
フィールドとして設定しているY村での所得の向上には他の方法も
考えられる。たとえば道路整備誘致を最優先とし、車で1時間で行ける
X経済特別区の工場で働けるようにすることも一方法である。そうした選択の中から、
私たちのカウンターパートNGOと現地住民組織は現在のところ地道な漁業資源回復
を選んでいるわけであるが、この選択の妥当性とその目指すところを明らかにしたい
というのが私の意図である。 |
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研究の概要: |
Y村の人々の生活範囲と物資・金銭の移動をまず明らかにしたい。
日用品をどこから購入しているか、食品はどこから調達しているか。衣料品、家具類、
住宅建設の際の材料まで、村内・近隣地域・遠隔地に分けて、物資の移動を調査する。
次に、生産物の移動である。村内には保存施設はなく、小一時間かかるテルナテ港
に共同のボートで出荷しているのがほとんどだと思われるが、他の農産物等について
はどうなっているだろうか。
また、それによる現金収入についても調べたい。主な産物は魚介類であろうが、
それ以外のものはどのくらいを占めているのだろうか。
物資の移動については、われわれのプロジェクトに参加している住民の協力を仰ぎ、
マッピングの手法で描き出せるだろう。収入についてはいささか難しいとは思うが、
典型例として数軒の家の協力を仰ぎたい。
また、これに関連して、どのくらいの人数が村の外で働き、村に資金を送っているのか、
その規模も調査したい。
次に、PFFFの提出する開発フレームワークの精査である。これには既存の地域自立
の経済ないしは内的発展理論の精査も欠かせない。それぞれの開発モデルの異同も
明らかにする必要があるだろう。
このフレームワークとの比較において、Y村の状況を検討したい。
フレームワークが期待している部分と現実のどこがくいちがっているか、あるいは
どこが重なり合っているか。そして、どこをどうするべきかについての検討を行う。
最後に、このY村における開発モデルの構築である。
もとより外部者の意見ではあるが、できる限り住民の意見を採り入れた開発モデル
というものを構築してみたい。
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研究の方法: |
Y村にて2003年3月フィールド調査を行う。
調査方法はフィールド・ワークを主とし、サーベイ調査の手法も取り入れたものとしたい。 |
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構成: |
1 |
Y村における事例研究 |
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1.1 物の移動 |
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1.1.1 生活物資の購入範囲 |
1.1.2 食糧の購入範囲 |
1.1.3 生産物の出荷範囲 |
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1.2 金銭の移動 |
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1.2.1 現金収入の範囲 |
1.2.2 現金支出の範囲 |
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1.3 人の移動 |
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1.3.1 村人の生活範囲 |
1.3.2 海外出稼ぎ労働の割合 |
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2 |
PFFFの開発モデル |
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2.1 PFFFの開発モデル |
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2.2 「地域自立の経済」による開発モデル |
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2.3 内的発展理論によるモデル |
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3 |
PFFFの開発モデルとY村 |
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4 |
Y村における開発モデル |