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シンポジウム趣旨について
途上国の社会開発が直面している最大の課題は、人々を民族紛争や環境破壊へと追いやる貧困を解決し、誰もが明日を 信じて安心して暮らすことのできる「人間の安全保障」を、政策的に、確保することです。国レベルの経済成長が市場を 通じて自動的に国民全体に福祉をもたらす、とする過去の開発戦略の前提は、大きく揺らいでいます。 一方また、高齢化と社会的排除が急速に進行するポスト工業化社会においては、行政が既定水準にしたがって 一方的に福祉サービスを供給する政策には、大きな壁が立ちはだかっています。
 
いま世界は、多様な文脈で、人間の安全と幸福が保障される福祉の実現のための新しい政策科学を求めている、と言えるでしょう。 私たちは、未来を開くキー概念のひとつを「福祉社会開発」と考えています。
 
それは、制度的・社会的バリアを取り除くことを通じて、貧しく排除されていた人々も含めて諸個人が共同的な生活能力を開花させ、 市場や行政を利用し変容させながら自らの福祉を向上させる、そうしたことを可能とする地域社会の意識的・政策的な形成、 を意味します。そこでは、多様な組織・関係・制度を自ら創り出すような地域社会の展開を、政策としてどのように支えるべきか、 これが私たちの課題となるでしょう。
 
このような問題意識に立って、このシンポジウムでは、
(1) 社会開発・コミュニティ開発と社会福祉との関連、
(2) 社会開発と福祉における地域・行政・市場の新たな関係、
(3) 福祉社会開発のために築かれるべき政策科学とその方法、
という主に三つの柱について、グローバルな観点から議論したいと思います。
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